読書の思い出
暦の上ではすでに終わっているが、私の気分としては、8月末日が夏の終わりである。東京の公立学校は9月1日から二学期が始まるからだ。いい思い出が出来るか出来ないかは別にしても、夏の長期休暇は非常に楽しかった。暑苦しくても、冬休みや春休みより楽しかった気がする。
読書の秋とは言うが、秋にはそんなゆとりはなく、どちらかといえば夏のほうが、本を読む量は多かった。
私は暑いのが苦手で、冷房が大好きであるが、小学生のころは、我が家には冷房はなかったので、図書館にこもっていた。読書というより避暑のために図書館に来ていたのだが、その時の読書体験は、いまでは思い出深いものになっている。題名は覚えていないが、かなりの数のSFを読んだ。ミステリもこのころ読み始めた。最初は少年探偵団シリーズで、次にホームズを読んだ。でも、残念ながら子供には少年探偵団のほうが面白かった。もう少しでホームズ嫌いになるところだったのだから、恨めしい思い出の様だが、そのホームズとの新たなる再会も、少年探偵団で培われた「読書好き」のおかげであると考えると、私の最もすばらしい「夏の思い出」は、品川図書館で遊びまわったあの時のことなのかもしれない。