杉浦日向子氏、死去
[訃報]杉浦日向子さん46歳=江戸研究家、エッセイスト 江戸風俗を題材にした漫画やエッセーで知られる文筆家で、NHK番組「コメディー お江戸でござる」の解説者としても知られた杉浦日向子(すぎうら・ひなこ、本名・鈴木順子=すずき・じゅんこ)さんが22日、下咽頭(いんとう)がんのため亡くなった。46歳。葬儀は親族で済ませた。「お別れの会」の日取りは未定。自宅、喪主は非公表。
東京都生まれ。日大芸術学部中退後、時代考証家の稲垣史生に弟子入り。80年、吉原を描いた「通言室乃梅」が漫画雑誌「ガロ」に掲載されてデビュー。江戸から明治を舞台に町人や武士の生きる姿や、味わいのある夫婦の日常を描いて”文芸漫画”と評された。「百日紅」「百物語」などを発表。84年「合葬」で日本漫画家協会賞優秀賞、88年「風流江戸雀」で文芸春秋漫画賞。
93年、漫画家を廃業し江戸研究に専念。エッセーに「江戸へようこそ」「東京イワシ頭」など。「コメディー お江戸でござる」には95年から9年ほど出演して、分かりやすい解説で親しまれた。93~00年、毎日新聞の書評執筆者を務めた。
03年暮れから入退院を繰り返していた。(毎日新聞より)
私が杉浦日向子氏の存在を知ったのは93~94年ごろ。当時高校生で、ひねくれていたのか、人と違う漫画雑誌「ガロ」を購読していた。このころガロは過去の作品の再録をやっていて、そのときに「初音」(『二つ枕』所収)を読んだ。こんな漫画は読んだことがない、とかなり感激したのを覚えている。それで、よく通っていた渋谷のまんだらけあたりで『二つ枕』を買ってきたと記憶している。
最初に読んだ時点で、実は彼女は漫画家を廃業していた。それで、95年に筑摩書房から漫画の全集が出るのだけれど、それも全部買ってしまった。その前にいくつか単行本を買っていたから、かなりダブってしまったのだけれど、一部は気に入ってくれた人にあげてしまった。
漫画もよかったが、『江戸へようこそ』などの著作も印象的だ。江戸的懐古趣味を否定し「今ここにある江戸」を提唱していた。そんなところから、時代劇の変わった見方などを教えてもらった気がする。
私の大学の進路が、専攻は近代史になってしまったとはいえ、国史学科になったことに、きっかけのひとつを与えてくれたように思う。
私の思春期に大きな影響を与えた作家さんの一人である。
一度直接お話をしたかった。
ガロ誌上で私が好きだった漫画家さんで、亡くなったのはねこぢるさんに続いて二人目。
杉浦日向子様、安らかにお眠りください。
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