IT企業とは
前ライブドア社長の堀江被告の裁判が、2回・3回と行われているのを見て、ビックリしている。
公判前整理手続きをして、集中審理するというのは、大型の裁判としては初めてのことだそうだ。早ければ来年の2月にも地裁の判決が出るという報道もある。
地下鉄サリン事件から12年余りが経た現在でもオウム裁判が続いていることを考えれば、司法の世界も進歩したということなのだろう。
ところで、ライブドアというと、オン・ザ・エッヂという名前のころ、仕事でかかわったことがある。うちの会社から商品を購入したいということで連絡があり、それがきっかけでホームページにある会社概要を見た。
このとき引っかかったのが、何をやっている会社なのか、具体的に分からなかったことだ。
というか、何が本業なのか分からなかった。
IT系といっても、たとえばマイクロソフトならOSとOFFICEを売る会社、ヤフージャパンならポータルサイトを運営する会社、楽天なら楽天市場を運営する会社と、何らかの形で具体的なイメージがわくのだが、オン・ザ・エッヂに関してはさっぱり分からなかった。
会社沿革を見ると、前年に株式交換などで傘下におさめた会社が9社あった。
私は友好的であれ敵対的であれ、企業買収には否定的ではないし、IT系企業というのにもアレルギーはない。
でも、投資会社でもないのに、年間9社買収というのは、ものすごく違和感を覚えた。
投資会社ではなく、「IT企業」とか「インターネット企業」とか名乗っていたのだ。
この時は少し遅れたITバブルに乗ってでてきた、訳のわからない泡沫企業程度にしか思っていなかった。
だが、その後の大騒ぎ振りは、ご存知のとおりである。
結局、この会社の創業者は、技術やアイディアという中核を持たず、上手な自己宣伝とマネーゲームによって、本質的実態の存在しない会社を、数倍の価値に見せかけて、その大きさを利用して金儲けをしていた。
私には、金儲けだけが至上目的だったように見える。
起業というのは、金を儲けたいからする、というのは正しいと思うが、それだけが目的だとしたら、悲しいことだ。
少なくとも企業家は、自分の夢の実現のために起業すべきだし、その夢は、人々の生活の向上や、社会の進歩に寄与するものであるべきだ。
Yahoo!やGoogleの創業者は意識はしていなかったかもしれないが、彼らが面白いと思ったアイディアを実現し、それを商品に起業したら、そのサービスが人々の生活を変えてしまった。
だから彼らは億万長者になった。
起業自体は金儲けのためにしたかもしれないが、人々の生活を変えるだけの革新的な技術やアイディアがそこにはあったのだ。
果たして、ライブドアにはそれがあったのだろうか。