児玉幸多先生のこと
訃報:児玉幸多さん 97歳 死去=元学習院大学長、日本史専攻
児玉幸多さん97歳(こだま・こうた=元学習院大学長、日本史専攻)4日、多臓器不全のため死去。葬儀は近親者のみで行う。お別れの会は22日午後2時、豊島区目白1の5の1の学習院創立百周年記念会館。喪主は長男茂幸(しげゆき)さん。
73?79年まで学習院大学長。93年に開館した江戸東京博物館の初代館長に就任し、96年まで務めた。近世の農村農民史や交通の研究で成果を上げ、日本学士院会員にも選ばれている。
著書に「近世農村社会の研究」「学習まんが 少年少女日本の歴史」などがある。
毎日新聞 2007年7月7日 東京夕刊
児玉先生の訃報は、お年がお年なので、驚きはしなかったが、それでも衝撃であった。
まともに日本史を勉強された方なら、先生のお名前を知らない人はいないだろう。
山川の教科書の監修他、多数の著作・監修があり、特に近世の交通・農村に関する、第一人者である。
私は近代なので、それほど関係は無いと思っていたのだが、今から約10年前の1998年に、一度だけお会いしたことがあった。
博物館学芸員の実習で、品川区立品川歴史館にお世話になったのだが、先生はそこで非常勤の館長をなされていたのだ。
ご挨拶ということでお話をさせていただいたのだが、緊張して何をしゃべったのかまったく覚えていない(笑)
印象的だったのは、その時でも大変なご高齢であったにもかかわらず、非常にお元気そうで、ニッコリとされていたことだ。
私の手元には、手垢で黒ずんでしまった、先生監修の『くずし字用例辞典』(東京堂出版)がある。これはくずし字に関わる者の必携書だ。学生時代に文書(もんじょ)を読む際に、随分とお世話になった。今では年に数回しか開くことはないけれども、それでも一生付き合う本になるだろうことは間違いない。
きっと、母が持っている『木村・相良 独和辞典』の様に、ボロボロになるまで使うことになるだろう。
謹んでご冥福をお祈りいたします。