無意味草子 その1
三人の気違い
ある時、ある所に、三人の男がいた。二人はたいそう気違いの真似がうまく、一人をからかっていた。二人の気違いぶりがあまりにうまいので、一人はこれを本物と思い、気違いになった。二人は一、一人を真似と思ったが、しだいに本物と気付き気違いになった。とうとう三人とも気違いになった。
教訓 気違いを見ても本物と思うな
三人寄れば
ある時、ある所に、三人の男がいた。大は理屈っぽく人から嫌われ、中は協調性が無く文句ばかり言い、小は、言葉だけで行動しなかった。三人はついに協力してなにかを成すことはなかった。
教訓 三人寄ってもモンチッチの知恵
上手なヒッチハイク
ある時、ある所に、ヒッチハイクで旅をする男がいた。その日に限って車が止らぬので、一計を案じた。車は止ったが、彼が乗ることはなかった。走り去った後には、一面に真っ赤な世界が広がっていた。
教訓 車道の真ん中でヒッチハイクをするな
誓い
ある時、ある所に、コ?ヒ?を飲みながら悪友と話をするのが好きな男がいた。そのうち勉学がおろそかになり、「もう行かない。」と誓った。その後、悪友から二度誘われ断ったが、三度目に欲望に負けた。
教訓 出来ないことは誓うな
詐欺
ある時、ある所に、お人好しな男がいた。評判の良い人が彼に、「百万貸してください。一月後には倍にしてお返しします。」。男はすっかり信用して、「どうぞどうぞ、お貸ししましょう。困った時はお互い様です。」。一月後、初めて詐欺だと気が付いた。
教訓 人を見たら泥棒と思え
「詐欺」の反論
ある時、ある所に、用心深い男がいた。評判の良からぬ人が彼に、「百万貸してください。一月後には倍にしてお返しします。」。男は信用せず、「そんな大金はありません。隣の方にお願いしてはいかがですか。」。向の人は快く貸し、一月後、二百万返ってきた。
教訓 汝の隣人を信じよ
初出「探書手帳11」(1997/02)
初出は97年としても、実際に作ったのは93-94年ごろ。
こんなのを大量に作った。
ペンネームでハンドルネームでもある「無學童子」の使い始め。