日本のコメ
数日前、NHKスペシャルで「ライスショック:どうなる、日本のコメ」という特集を見た。
日本のコメが現在抱えている問題のレポートである。
もしも関税が撤廃された場合、中国やアメリカなどから、およそ10分の1の価格の米が入ってくることになる。
農水省の試算によると、ただでさえ低い日本の食料自給率は現在の39%ら12%に下落するという。
オーストラリア237%、米国128%、フランス122%、英国70%などと比べて極端に低い。
もしも世界的な食糧不足によって、日本に食料が入ってこなくなったらと考えると。。。
アメリカでは1500ヘクタールの農場でコシヒカリを栽培しているのに、日本では大規模といっても50ヘクタールを超える程度だ。
規模の経済に負けてしまうのは当然である。
アメリカ産米は味が悪いかというとまったくそんなことはなく、ほとんど遜色無いそうだ。
専門家の意見は割れているようだが、私はグローバル化の波は避けられないと思う。その中で、コメだけ例外というわけにはいかなくなってくる。
投資マネーは国境を乗り越え、一瞬で地球を駆け巡る。
物流コストは劇的に下がり、人も物も金も移動は随分と容易になった。
特に情報のコストは下がり、インターネットさえあれば誰でも情報発信が可能である。
ミャンマーのデモの映像が、軍事政権の取締りを逃れて世界中に流れたことは記憶に新しい。
アルカイーダなどのテロ組織も、ネットを連絡手段として活用しているようだ。
昔は地球の裏側のことを知るのは容易ではなかったが、今ではかなりのことが、かなりの速さで知ることができる。
情報の伝達が容易になると、地理的に離れたところに住む人間同士が、同じ様な情報に接することになり、最終的には生活が平均化すると考えられる。
ラジオ・テレビの普及と共に日本全体が平均化していったのと同じ様に。
それでも現在は言葉が障壁になっているが、テクノロジーで乗り越えてしまう日は近いだろう。
障壁が低くなり、情報も人も物も金も移動が容易になれば、最終的には世界全体がかなりの部分で均質化してくるに違いない。
そうなったとき、各地域にある国家は現在ほどの重要性は失い、むしろ数カ国の地域連合、地球レベルの連合が、今にもまして重要になってくるだろう。
国家を超えて、あらゆる意味での障壁が、長い時間はかかるであろうが、無くなっていくのが時代の流れなのだ。
大国のアメリカといえど、その流れを止めることはできないだろう。
金も人も物も、自由に地球上を往来できる日が必ず来る。
そんな中で、日本の米だけが例外になろうはずがない。
グローバル化の波の中で、おそらくほとんどの日本の農家が競争に敗れるだろう。
代わりに、アメリカや中国の農家が高く売れる日本向けの米を作る。
保護政策によって過保護に扱われ、競争力を蓄えられなかった日本の農家と、その政策を遂行した政府が、先を見通す目を持たなかったということのつけがまわってきているのである。
個人的には、米の値段が下がるのは賛成だし、それで味が変わらないのであれば、アメリカ産であろうが中国産であろうが、結構なことである。
それで日本の農家が滅びるかもしれないが、残念ながら私には関係のないことだ。
ただし、それは食の安全性が保障されての話である。