科学の申し子
代理出産:「禁止」の報告書案提示 対象、処罰は調整継続??学術会議
不妊夫婦のために他の女性が夫婦の受精卵を妊娠・出産する代理出産について、日本学術会議の検討委員会は18日、代理出産を法律で一律に禁止することを求める報告書案を提示した。法で規制する方針については合意したが、一部容認を求める意見も出され、調整を続けることにした。
この日は、背景説明や代理出産の許容性に関する部分の報告書案が示された。代理出産を許容するか否かに関し、▽死亡の危険性のある妊娠・出産を第三者に課す問題が大きい▽胎児への影響が不明▽「家」を重視する日本では強制や誘導が懸念される▽本来の生殖活動から大きく逸脱している▽胎児に障害があった場合の解決が当事者間の契約だけでは困難??などの問題点を指摘した。
そのうえで、このような技術を不妊夫婦の希望や妊娠・出産者との契約、医師の判断だけに委ねることは「妥当性を欠く」として、法規制を求めた。
だが、法律で禁止する対象や処罰の範囲については意見が分かれた。委員の中には「全面禁止にはすべきでない。報告書は両論併記にすべきだ」との意見もあり、次回の検討委を目指して調整することになった。
一方、生まれた子が出自を知る権利の確保や、第三者から卵子などの提供を受ける不妊治療の是非についても検討課題だったが、「十分な検討時間がない」として、結論を出さないことにした。
また、報告書の取りまとめ作業のため、今月末までとされていた検討委の任期を、今年3月末まで延ばすことになった。今月末に開かれる、日本学術会議幹事会で正式決定する。【永山悦子】
毎日新聞 2008年1月19日 東京朝刊
僕の個人的な意見は罰則付きの全面禁止なんだけど、不妊に悩んでいる人の個別の事情なんかを聞いちゃうと、その気持ちも揺らぐんだよね。
ただ、仮にわれら夫婦に降りかかったとしたら、こういった手段は選択しない。
理由は、僕の倫理観が許さないから。
科学で解決できることは科学で解決するべきというのが僕の基本的スタンスなんだけど、そうして生まれてきた子供が、何の差別も不自由もなく、社会に迎え入れられるのかどうかが不安。
「そんなに子供がほしいなら養子を迎え入れろ」なんて意見もあるけど、それは乱暴。
とはいえ、養子に出されてしまう子供がいるのも事実。
養子に出されればまだ良いけど、育てられないからといって殺されてしまう子供もいる。
「子供がほしい」と思うのであれば、「自分の子供」にこだわるのも結構だけど、すでに生まれてきて、両親と幸せに暮らせない子供もいるのだということを、せめて頭の片隅におくべきだろう。
もしも、代理出産を認めることによって、新たな不幸な人や問題が生じないというのであれば、僕は大賛成しよう。
この報告書案に指摘している問題はたしかにあるし、それ以外にもやはり差別や金銭に絡む問題が多数考えられる。
そういった問題がきちんと解決されるのであれば、賛成せざるを得ない。
だって、少子高齢化の時代に「子供を持ちたい」っていう意思を踏みにじるような政策なんて、馬鹿げてるから。