八雲立つ
「八雲立つ出雲八重垣妻ごみに八重垣作るその八重垣を」
ということで、日曜と月曜に出雲に行ってきた。
この時期ということで、出雲地方の雪で飛行機が飛ばないのではと心配していたが、何のことはない、雪が降ったのは東京だった。
羽田にて、機体の除雪作業で定刻より1時間半後れ。
フライト時間は1時間程度なのにさ。
節分ということで、豆まきをやっていたはずなんだが、フライトが遅れたことにより見られなかった。
残念。
お参りをあいた後、近くで名物の割子そばを食べる。
おいしいとは思うのだけれど、つゆを入れて食べるのはやっぱりダメだなぁ。
江戸的な方が好き。
食後に出雲大社東隣の島根県立古代出雲歴史博物館に行く。
こう見えても僕は博物館学芸員の資格だけは持っていて、展示にはちょっとうるさい。導線のとり方、照明、展示物の管理に目が行ってしまうので、展示物に集中できないのが困りもの。
去年開館だそうで、さすがに設備も新しく、非常に快適。
最近の博物館らしく、導線もゆったりしていて見やすい。
また、模型も多くわかりやすい。
面白かったのは、大社本殿の模型。
昔の大社本殿については諸説あるのだが、そのうちの代表的なものの模型があった。
驚きは1/10模型。本殿の高さが50メートルあったという説に基づくもので、模型とはいえ見上げる高さ。
今までいくつもの博物館を見てきたのだが、思わず声を出してしまったのはここがはじめて(笑)
というのは、「青銅器と金色の大刀」という展示ルーム。
荒神谷遺跡から出土した青銅の剣が、なんと壁一面に展示されているのだ!
上段が金ぴかの復元模型、下段が実物。
壁にびっしりと並んでいるのは圧巻。しかも、全部国宝
これだけの数の国宝をいっぺんに見たのは初めてだよ。
この博物館で気づいたのは、ボランティアが充実しているということ。
年配のボランティアがいろいろなことを説明してくれる。
多少、鬱陶しいと思うこともあったが、色々と教えていただいた。
特別展は近年の島根県内の発掘調査の報告だったのだが、ちょうどこのボランティア向けに、島根県教育庁埋蔵文化財調査センターの職員による解説が行われていたので、混じって聞いてしまった。
専門家に聞くの面白いね。
余談だけど、どんなヘナチョコな博物館でも、展示を企画監修している学芸員かそれにあたる人がいるわけで、機会があればその人たちの解説をぜひ聞いて欲しい。
たぶん、展示を1メートル進むのに、30分はかかると思う。
埋蔵文化財調査センターの職員による解説は、時間の都合からか、とてつもなく駆け足だったけど、どうやら専門家としてしゃべりたいことはたくさんあるらしく、どんどん話が伸びていたよ(笑)
受付の人もボランティアの人も大変親切で、展示も大変良く、久々に良い博物館を見たと思った。
ただ、新設の博物館は確かに魅力あるものだけど、その新鮮さというのは時間がたつにつれて薄れてしまう。
開館当初の魅力というのは、ハードウェア部分によるものが大きく、3年もたてば陳腐になる。
そこから先、新鮮さを保ち続けるのは、学芸員や職員、ボランティアといった、運営する側の努力と工夫なのだ。
この博物館は、ボランティアの動きを見る限り、十分期待できよう。
この後、一畑電車というので、出雲大社前から宍道湖をぐるっと回って松江しんじ湖温泉へおよそ一時間の電車旅。
二両編成の最前列に乗っていたはずが、一畑口という駅で最後尾になってしまったのは少し驚いた。
ホテル一畑にチェックインしたあと、宍道湖畔松江大橋のたもとにある味処なにわ本店というお店で夕食。
ここはなかなかのヒット。
食べ物の話はこちらで。
でもね二人で一万円未満というのは、奇跡ですよ。
おいしい料理を食べて酒を飲んで、2時間ばかり過ごしたら気持ちよくなり、ホテルまで酔い覚ましに歩いて帰る。
湖畔は寒かったけど気持ちよかった。
ホテルに戻って温泉に入る。
露天あり、眺めよし。
ただし、循環式。
さて、今日はここまで。
翌日の話は次の機会に。