書店
任天堂栄えて本屋潰れる 旭屋書店閉店の衝撃度
2008年04月21日10時00分街の書店はもうダメなのか。
老舗中の老舗、東京旭屋書店の銀座店と水道橋店が閉鎖を決めた。売り上げ低迷が理由だ。
銀座店は1965年11月の開店で42年以上も営業を続けてきたが、今月25日に閉店する(水道橋店は6月下旬)。銀座東芝ビルの1階という場所柄、サラリーマンの利用者も多く「寂しい」「残念」の声が続々だ。
銀座店をよく利用したという住信基礎研究所主席研究員の伊藤洋一氏も嘆く。
「ショックです。ただ私もネットで本を買うケースが増えているのは事実です」(伊藤氏)
夜中にネットで注文。数日後には自宅に届く。忙しいビジネスマンや近くに大型書店のない地域に住む人には便利だ。「書店離れ」は加速していた。
もっとも本屋不況は今に始まったことではないから「何を今さら」と感じるかもしれない。しかし42年続く老舗店の閉鎖は深刻度が増している証しだ。
書店数の減少は凄まじい。01年は2万939店あったが、08年1月には1万6512店まで減少(アルメディア調査)。毎年600店程度が消滅しているという。
「書店は、任天堂DSやWiiなどのゲーム機、携帯電話に完全に客を奪われた。新刊を買うお金があったらゲームやケータイに回す。任天堂ばかりが栄える時代ですよ」(流通関係者)
そればかりじゃない。街の書店は、中古本のブックオフやコンビニにも客を奪われ続けている。
セブン―イレブンの雑誌・書籍・新聞の売上額は1430億円(07年度)に達し、日本一の冊数を売る書店、紀伊国屋書店の売上額(1173億円)を軽く上回る。
「しかも本がなくてもネットでいろいろと調べられる時代です。ただネットの情報は断片的。本のように大きな枠組み(テーマ)がない。断片情報は入ってくるけど、それをどうやって自分のものにするか。そのために枠組みをきちんと持った本を私は読みます」(前出の伊藤氏)
ゲームやケータイ、ネットばかりがもてはやされ、書店が消えていく。その先にはどんな事態が待ち受けているのか。
知の荒廃でなければいいが。
【2008年4月18日掲載】
ゲンダイネット
まっきぃ★さんからリアルであったリクエストにお答えして、今日のネタはこの記事にしよう。
まず出版業界の売上総額から言うと、97年をピークい緩やかに下がり続けている。
それでも2007年のレベルは20年前のレベル上回っているし、ここ数年は横ばいである。
したがって、出版業界はそんなにしぼんでいない以上「知の荒廃」とはいえない。
書店業界が勝手にしぼんでいるだけで、本の売上はそう変わらないのだから。
音楽ソフトでは、1998年に売上6千億円だったものが2007年には3900億円になっている。
出版業界の売上がそう減らない中、音楽ソフトがこれだけ極端に落ち込んでいるのだから、任天堂が食っている売上はむしろ音楽ソフトというほうがふさわしい。
もっとも、ゲームの売上推移は調べていないから、本当のところはわからないけど。
旭屋書店などの名門が消えていくのは悲しいけれど、書店が消えていくのは時代の流れとして仕方ないと思う。
雑誌とコミックと文庫とノベルスしかない様な紋切り型の書店ばかりが多くたって、「文化」とは言えない。
そんな書店なら、とっとと消えていただいて結構だ。
ネット書店は便利だ。
ブックオフも皆に支持されている。
コンビニはもちろん便利だ。
それらの便利な存在に対して、書店業界は何も手をうっていなかった。
再販制度という既得権益の上で胡坐をかいて商売をしてきたのだから、そのつけが回るのも当然だろう。
店舗の数が減るだけならまだいいじゃないか。
本は、いずれデジタル化の波によって紙に印刷されなくなる時代が来る。
そのとき、書店は売るものがなくなってしまうのだ。
今デジタル書籍がそれほど売れないのは、表示する適切なデバイスが安価で供給されないからだ。
紙以上に適切なデバイスが無い、とも言える。
それが解決されれば、本など一気にマイナーな存在になってしまうだろう。