パンダとお金
東京都の石原知事はパンダに興味がないようだ。
ま、仰ることはごもっとも。
そんなにパンダを見たけりゃ、神戸でも行けばいいのだ。
ところで、この話題で気にかかるのはお金の話。
パンダのリース料が高いとか安いの話ではなくね。
よく聞くのが「高額のリース料を支払って、上野動物園の収支は大丈夫なのか」ということ。
よく物を知らんのかね、こういう人は。
地方公共団体が運営する文化施設に、黒字のところはほとんど無い。
上野動物園もそうだし、最近有名になった旭山動物園だってそう。
公共の博物館・美術館で、収入全体に占める入場料金は、通常は1割以下程度。
収支バランスは、通常は赤字。
だからって、無くすわけにはいかない。
必要なものだけど、儲けられないから民間じゃなくて公共がやるのだ。
こういう公共施設で重要になってくるのは収支だけではなくて、その運営が目的にかなっているか、最小のコストで最大の結果を得られているかということ。
たとえば旭山動物園なら、それ自体は赤字でも地域への経済効果はあっただろうし、教育的効果もたぶんにあるだろう。
支出がその効果に見合っていれば、赤字でも存在意義がある。
だから、上野動物園に一億円をかけてパンダを呼ぶことが、上野動物園の趣旨にかなっていて、お金を出す都民の多くが納得さえすれば、たとえどんなに大赤字になってもまったく問題はない。
自治体による文化事業って、儲からないからこそ必要なんだよ。
パンだの件に関して言えば、長らく上野にしかいなかったが、今では和歌山アドベンチャーワールドに6頭、神戸市立王子動物園に2頭いるそうだから、改めて上野にパンダを迎える必要性は薄いと思う。
僕は一億円は決して無駄な支出ではないと思うが、上野動物園の趣旨に鑑みれば、日本国民がなかなか見ることの出来ない、もっと希少な動物の導入と飼育にかけたほうが良いのではないかと思う。
ま、わけのわからん動物に一億もかけたら怒り出す都民もいるだろうが、文化事業とはそんなものだろう。