チャールズ・アルタモント・ドイル

0275.jpgチャールズ・アルタモント・ドイルは、シャーロック・ホームズの生みの親であるアーサー・イグナチオ・コナン・ドイルの父親である。

息子や父親(H・Bの筆名で有名な風刺画家)・兄(リチャード・ドイル 挿絵画家)とは違い、名声とは無縁だった。
公務員として生計を立て、アルコール依存症・うつ病で精神病院に送られた。
その悲惨さは、ドラマ「コナン・ドイルの事件簿」を見れば察しがつくだろう。

「緋色の研究」の挿絵を描いているが、今われわれが思うホームズのイメージとはまったくかけ離れた絵である。これを見ても誰もホームズとは思わないだろう。
はっきり言って、下手としか思えない。

しかし、これならどうであろう。

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兄のリチャードと引けをとらないように思うのは、僕だけだろうか。

チャールズとリチャードについては「ホームズと妖精」でも少し触れたが、有名な画家であったリチャードですら日本の美術館ではあまり見られないのに、素人画家であったチャールズのものは井村氏所蔵以外のものは無いのではないだろうか。
とすれば、国内でこれ以上見ることはかなわないということになる。

そこで、埼玉県立美術館で開催していた「19世紀英国ヴィクトリア朝の絵画 フェアリー・テイル 妖精たちの物語」の図録をチェックしてみた。
やはり絵画はほぼ井村君江氏の所蔵であることは間違いなかった。
絵画以外に「挿絵本」という項目を見つけた。
もちろんリチャード・ドイルの挿絵本なんかが大量に載っているわけだが、注目すべきはその一番最後で、”The Doyle Diary -The Last Great Conan Doyle Mystery”(1978)が紹介されているのである。
解説によれば、チャールズがアルコール中毒で妻と別れ、サニー・サイド療養所に出入りしていたころの絵日記だというのである。
展示会では数ページしか見られなかったが、きっとたくさんリチャードの絵が載っているはず。これはぜひ見たいではないか。

あまりにも古い本だったら、洋書だと面倒だから諦めるが、僕より年下の本である。
戦前の本まで普通に集めているのだから、洋書とは言えなんてことはないだろう。
再版しているかもしれないからAmazonで検索してみたら、あっさりと見つかった。

値段が千差万別だったが、どれも状態についてのコメントがなく、海外発送ということでややハードルが高かったから、迷わずに一番安いところから買ってみた。

数日後に届いたのであけてみたら、お世辞にも状態は良くないが中身はしっかりしていた。

僕の英語力では解説文の解読なんて時間がかかってしょうがないのでそれは諦めて、絵だけを楽しむことにした。

0278.jpg0277.jpg僕としては、こんなに魅力のある絵もそうないと思うのだが、いかがだろうか?

一枚で良いから、本物をぜひ欲しいともう今日この頃である。

無學童子
ホームズ/ドイル

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