鉄道マニアでもないのに鉄道の本を読んだ 5
福原俊一『ビジネス特急<こだま>を走らせた男たち』(JTB)☆☆☆☆★
電車は機関車より格下と思われていたという状態から、その常識を覆し「東京‐大阪が日帰り圏に!」の夢を実現した男たちの物語である。
日本の鉄道史では新幹線のかげに隠れて目立たないが、その新幹線とていきなり実現できたわけではなく、私鉄の電車特急列車やビジネス特急「こだま」の開発や運行の中で培ってきた技術やノウハウがあったからこそなのだ。
方向の変えられる座席、冷水器、冷房、速度計など、今では当たり前だがそまでには見られなかったアイディアが随所に詰め込まれた先進列車だったのである。
プロジェクトX的な成功談としても面白いが、こだま型車両の資料としても価値が高い一冊である。