不正採用
大分教員汚職:教諭21人の採用取り消し 不合格者救済も
大分県の教員採用汚職事件にからみ、県教委は29日、不正合格が確認されたとして、08年度教員採用試験(試験は07年)で合格した小中学校などの教諭21人の採用取り消しを決めた。一方、不正のあおりで不合格になった21人については本人が希望すれば採用する方針。また、不正行為の調査報告書も公表され、採用・昇任試験で長年、県議や県教委幹部などからの依頼に基づく合否操作があったとし、「身内意識やチェック機能の欠如が不正を引き起こした」と分析した。
県教委によると、取り消しは小学14人(採用者41人)▽中学6人(同31人)▽養護教諭1人(同4人)。近く通知する。
事件を受け、県教委の改革担当プロジェクトチーム(PT)が、収賄罪で起訴された元県教委参事、江藤勝由被告(52)らが改ざんしたとされる試験データを分析。08年度は、データ分析や、江藤被告と改ざんを手伝った部下の男性職員の証言から、不正合格者を特定。07年度は、試験データの復元が十分でないことから取り消しはしないが、不正のあおりを受けて落とされた可能性がある受験者には、特別試験を実施し合格した場合は採用する。
一方、PTは過去10年間の人事担当者や、現役校長ら約1200人から採用・昇任試験などにおける不正行為などについて調査。その報告書によると、小中学校の教員採用試験は01年度まで点数順の競争試験でなかったため、県教委幹部や県議らからの働きかけがあり、ボーダーライン以下の受験者を合格させたこともあった。02年度以降は、実質的に競争試験になり、点数の改ざんが始まった。
07、08年度試験は、江藤被告が点数の改ざんにあたった。県教委幹部からリストなどを渡され「あしき慣習を知っていたので、不正の指示と受け止めた」と調査に証言。富松哲博・現教育審議監も「メモをもらって江藤に『頼む』と言って渡した」と認めていることを明かした。
報告書は、不正の背景として、選考の不適切な運用▽色濃い仲間意識・身内意識▽県教委のチェック機能の欠如??の3点を挙げ、改善策として、人事部門を一元化する「教育人事課(仮称)」の設置などを提案した。また、不正採用に絡んだ計15人(監督責任も含む)を停職などの懲戒や訓告処分とした。【小畑英介】
▽小矢文則教育長の話 つらい判断だったが、不正はただしていかないといけない。(取り消し対象者には)十分説明したい。
◇「予想超す数に怒りを覚える」鈴木文科相
鈴木恒夫文部科学相は29日、大分県教委が08年度の採用選考で21人が不正に合格していたと発表したことについて「予想以上の数。遺憾などという言葉を通り越し、怒りを覚える」と述べた。21人の採用取り消しについては「『不正をすればこうなる』と子どもたちに教育する必要もある。取り消された側はいろいろな思いを持つだろうが、仕方がないと思う」と述べ、適切な対応であるとの見解を示した。【加藤隆寛】
大分県教委のこの判断は、一見当然のようにも思えるが、よく考えると極めて不公平である。
なぜ、2008年度採用に限られるのか。
2007年と2008年に、同じ不正採用されたことで、どれだけの違いがあるのだろうか。
2007年以前のデータが無いというのは、それ自体は問題にしても、一定の理解は得られる。
ただ、それによって採用取り消しにならないのであれば、2008年採用の人とのバランスが取れないではないか。
可能な限り過去にさかのぼり、たとえ半世紀前の不正でも処分するというのであれば公平だが、分っている範囲で、それも直近の採用の分しか処分しないというのはおかしい。
2007年以前が処分できないのなら、2008年の採用分も採用取り消し処分にはすべきではない。
減給や戒告などの、何らかのペナルティはあっても仕方ないとは思うが。
不正採用のあおりで不合格となった人を救済することは当然だと思うが、不正採用者といえども、もう働いている以上、クビにするのは妥当は判断とは思えない。
それよりも、無能な教員を何時でもクビにできる制度を導入すべきだ。
不正採用でも有能なら残るし、正規採用でも無能ならクビ。
こっちのほうがよっぽど公平だ。
ところで、財政難で地方自治体が崩壊の危機にある折、公務員採用方法も見直したらどうか。
上位者は一般の試験での合格でよいとして、ボーダーラインにいる下位の受験者には、オークションで採用枠を買ってもらうとか。
不公平といわれようと、どうせボーダー上の受験者なんて誰を採用してもそう変わりはしないのだから、「自治体への貢献者」を優先しても良いのではないかと思う。