旧・東京中央郵便局
鳩山総務大臣が、かんぽの宿の一件以来日本郵政にチャチャを入れ続けている。
かんぽの宿の件は、感情的部分はあったにせよ、それなりに的を射たものだったと思う。
でも旧・東京中央郵便局については、少し考えてみないといけない。
この建物は勤務地が有楽町だった時代に私も数えきらないほど使ったが、印象ははっきり言ってただのぼろいビルである。
理由は簡単で、メンテナンスが行き届いていなかったからだ。
建築的にはこの建物はモダニズムの傑作で、シンプルな機能美が備わっている重要な建物だ。
隣の豪奢な明治生命館は同時期の建物だが、シンプルさとは対局にあり、ある意味では文化財としての説得力が高い。
しかしながらシンプルさに重きを置くモダニズム建築は、特にメンテナンスされていない状況では、ただのぼろいビルディングという印象であり、一般には文化財としての説得力が乏しい。
そのため、一般には「取り壊せ」とする意見が多い。
鳩山総務大臣にどういった意図があるのかはわからないが、モダニズム建築の価値をわかっているのなら、なかなかの政治家だ。
とはいえ、この期に及んで口だけ出して工事を止めるというのは、手続き上かなり乱暴といえる。
ビルの完成が一月遅れると10億の損害が出るそうだ。
鳩山大臣はそれをなんと考えるのか?
もし本当にあの建物を保存したいと考えるなら、まずは金のことを考えろ。
日本郵政から買い取って、きれいに手入れをして保存すればよいのだ。
口だけなら誰でも出せる。
本当に出すべきは金と知恵だ。