騒ぎすぎ
新型インフルエンザ感染者が発見され、桝添厚生労働大臣の緊急記者会見が行われた。
この新型インフルエンザについての話題は非常に重要だし、政府や自治体、あのほか各機関は迅速に事に当たる必要があるのは当然だ。
しかしながら、日本の今の状況は、騒ぎすぎではないのか。
このウィルスは弱毒性とのこと。
そうであれば、季節性のインフルエンザの種類が一つ増えるだけ。
我々一般の国民が行うべき対策は、いつもと変わらない。
総理も厚労大臣も水際対策を強調しているようだが、海外と接触のある地域は日本中に無数にある。
はっきり言えば、穴だらけであり、海外からのウィルスの侵入を完全に防ぐ手立てなどない。
国内への侵入を少しでも遅らせる手段として水際対策を否定するつもりはないが、本当に大事なのは国内の感染対策だ。
ウィルスを流入させないことよりも、流入した場合の対策に重点を置いた方がよい。
日本のワクチン製造能力は高いとは言えない。
税金をもっと投入して、凶悪な新型インフルエンザが発生した場合でも、大量のワクチンをすぐに供給できる体制を整えて欲しい。
インフルエンザを早い時期に押さえ込むことが出来ると言うことは、日本経済の停滞を防ぐ、あるいは最小限にとどめることが出来るわけでから、それだって経済対策になるではないか。
とにかく、水際対策に人をさきすぎて、国内対策が疎かにならないようにお願いしたい。
【ワシントン=山田哲朗、ジュネーブ=平本秀樹】新型インフルエンザの感染例が最初に見つかってから3週間以上たつ米国では、ウイルスの毒性が弱いとわかってきたこともあり、冷静な対応が目立っている。
米政府は国内感染者が20人になった4月26日、「非常事態」を宣言したが、国民に大きな動揺は見られなかった。米ハーバード大が5月8日に発表した電話調査では、「1年以内に家族が感染する懸念はない」と予測した人が61%に上り、米国内の楽観的なムードを反映した。
米疾病対策センター(CDC)は1日、疑わしい生徒が見つかった学校に14日間の休校を勧告。一時700校が休校したが、ウイルスが「弱毒性」であることがはっきりしたことを受け、休校勧告は6日に撤回され、大半の学校が再開した。
世界保健機関(WHO)も、国民生活や経済活動を過度に制約する対策を勧めていない。警戒水準については最高の「フェーズ6」への引き上げを検討しているが、渡航制限や国境閉鎖は引き続き行わないよう各国に要請する方針だ。
シルビ・ブリアン・インフルエンザ対策部長代理は8日、空港での水際対策の限界を指摘。軽症者がほとんどという「実態」に「対策」を合わせるべきだと述べ、「封じ込め」より感染の早期発見、早期治療の方が重要になるとの見解を示した。
(2009年5月9日22時38分 読売新聞)
ところで、厚労大臣は今回の件で「冷静に」と呼びかけているが、大臣が緊急会見を開くこと自体、既に冷静な態度ではない。
事務方がやれば良いだけの話である。
この件が大事なのは分かるが、それは大臣の仕事ではない。
政治家としてのパフォーマンスにしても、あまりにも稚拙すぎる。
「総選挙では年金のことは忘れてもらいたい」と考えて、無駄に騒いでかき消そうとしていると思われても、仕方ないのではないだろうか。