詰め替え
僕の家の戸棚には大量のお菓子とともに、カップヌードルなどのインスタントラーメンが必ずストックしてある。
インスタントラーメンとは言っても、袋麺ではなくカップ麺だ。
2年ほど前に出た「カップヌードル リフィル」は、再利用可能な容器を使用した詰め替え式のカップ麺で、「エコ」が注目されていたこともあり、画期的商品だと思った。
ところが現在、コンビニやスーパーへ行ってもこれを見かけることはほとんど無い。
あれだけ注目されたにもかかわらず、風前の灯火だ。
リフィルシリーズはカップヌードルではノーマル・シーフード・カレー、このほかどん兵衛のうどんとそば、チキンラーメンが出ている。
カップ麺版のノーマルとシーフードは、肉がコロチャーにかわったり、具材にホタテの貝柱が加わったりしたが、リフィルでは今のところ変更がない。
もう終息なのかもしれないと思わせるところである。
環境によい商品がもてはやされているのに、このシリーズはなぜ売れなかったのだろう?
ちょっと考察してみよう。
インスタント麺は大きく分けて、袋麺とカップ麺に分かれる。
袋麺は鍋で湯がいてどんぶりに盛る。
カップ麺はお湯を入れて一定時間待つだけ。
袋麺と違って洗い物も出ず、お湯さえあればいつでもどこでも食べることができるが、そのかわり袋麺より値段が高い。
リフィルが売れないのは、おそらくこのカップ麺の特徴にあると思う。
早い話が、カップ麺の特徴を台無しにしている、と言うこと。
リフィルはまず容器が必要である。
この容器にリフィルの麺を入れ、お湯を入れて3分待つか、水を入れて電子レンジで5分温める。
食べ終わったら、当然のことながら容器は洗わなければならない。
価格は税別で122円。カップ麺の方は定価170円。
一見かなりの価格差があり有利のようだが、スーパーでの実勢だとほとんど価格差がない。
もともとカップヌードルを食べる層というのは、基本的には多少の価格差は気にしない層と見て良い。
価格差を気にする層は、もっと安いブランドのカップ麺にするか、袋麺を選択するはずだ。
従って、価格的なメリットはほとんど生きてこない。
カップ麺の最大の特徴は、カップに入っていることだ。
これによって、いつでもどこでもお湯さえあれば食べられるのだが、リフィルはどうしてもカップが別に必要になる。
食べ終われば、必ず洗い物が出るのだ。
これであれば袋麺と大きな違いはない。
結局、価格を気にする層は袋麺を選ぶし、利便性を気にする層はカップ麺を選ぶと言うこと。
リフィルはコンセプトはよいが、結果として中途半端な商品になってしまった。
ただし、僕のようにカップ麺全般ではなく「カップヌードルが好き」という層には売れる可能性が残されている。
利便性ではなく、カップヌードルの味を求めているわけで、そういった層には、価格が少しでも安いことはありがたいのだ。