COP15
12月20日1時12分配信 毎日新聞
先進国と途上国の対立が先鋭化した国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)。かろうじてまとめられたコペンハーゲン協定に基づき、先進国は来年2月1日以前に、20年までの温室効果ガス削減目標を申告することになった。日本政府が掲げてきた「90年比25%減」の高い目標は途上国などの参加と意欲的な目標設定を前提としてきたが、この前提は満たされたのか、不十分だとして目標を引き下げるのか。早急に判断が迫られている。【足立旬子、山田大輔、コペンハーゲン福島良典、大場あい】19日に現地で記者会見した小沢鋭仁環境相は「各国に意欲的な目標を求めてきた前提は変わらない。(日本が)表明するまでまだ時間がある」と述べ、目標見直しに含みを持たせた。
欧州連合(EU)は他の先進国が野心的な目標を掲げれば削減目標を90年比20%から30%に引き上げるとしていた。だが、バローゾ欧州委員長は「何の合意もないよりましだが、EUの野心を下回る」として、20%減に留め置くと発表した。
米国は、米議会で審議中の地球温暖化対策法案に沿って、05年比14?17%減を掲げている。17%減の場合、90年比で約4%減にとどまる。
21世紀政策研究所の澤昭裕研究主幹は「(申告期限までに)米国の法案が成立する可能性は低い。米国の数値が確定していない中で、どのような目標にするかは日本政府の判断だが、削減努力の公平性が協定では言及されていない」と批判する。
国内の08年度の温室効果ガス排出量(速報値)は、12億8600万トン(二酸化炭素換算)で、90年度比1.9%増。京都議定書の約束である6%減の達成さえ容易でない。25%削減に必要となる国内法案は策定途上だ。対策手段となる地球温暖化対策税(環境税)は、来年4月の導入は見送られる可能性が高い。11年度の導入を目指す国内排出量取引制度の具体化は遅れ、25%削減に伴う家庭負担の試算は迷走している。
途上国への支援額でも、EUが106億ドル、米国が36億ドルに対し、日本は110億ドル。削減目標も支援額も日本は突出している。
有村俊秀・上智大准教授(環境経済学)は、「日本の目標や金額は極めて高く、達成には新しい工夫が欠かせない。たとえば、省エネ技術の輸出で排出量を得る新たな仕組みなど、国富流出を招かない政策を編み出すべきだ」と指摘する。
◇「大排出国の露骨な妨害は残念」…途上国が批判
18日に日米中や欧州諸国などから示された政治合意「コペンハーゲン協定」を巡っては、温室効果ガス削減数値目標が「自主申告」扱いで義務はない点などに批判が集中。19日の全体会合などでは途上国から先進国に辛らつな批判が続いた。温暖化の影響を受けやすい国々からは、強い危機感とともに大国の協議の進め方に不満が噴出した。
AFP通信などによると、温暖化による海面上昇の影響を受ける太平洋の島国ツバルの代表は「銀貨30枚で国民を裏切れというような提案だ。我が国の未来は(支援額のための)売り物ではない」と憤った。「(気候変動は)我が国にとって今そこにある危機だ」と述べたインド洋・モルディブのナシード大統領は中国などを念頭に「(温室効果ガスの)大排出国による露骨な妨害はまことに残念だ」と話した。
南米ボリビアの国連大使は合意形成について「25か30の国が190以上の国の大半を排除し、どうやって協定を作れるというのか。我々の声は何ら考慮されない」と批判した。
アフリカのスーダン代表は「気候変動交渉として史上最悪の進展」と酷評。このままでは温暖化がもたらす洪水や干ばつの影響でアフリカで死者が広がるとして、ナチスドイツの「ホロコースト」に例えて米国などを批判。スウェーデン交渉団が「まったく卑劣(な発言)」と反論するなど、議論は紛糾した。【欧州総局】
◇財界から落胆の声
経済同友会の桜井正光代表幹事は19日、「次期枠組み構築に向けた今後の道筋と期限が不透明になったことは誠に遺憾」との談話を発表。米中両国について、「今回、この2国を別枠とする案が浮上したことは大問題で、最大排出国としての責任をもった行動を強く望みたい」と求めた。
電気事業連合会の森詳介会長(関西電力社長)は「温暖化問題への対応の難しさを改めて痛感した」と指摘。日本経団連の御手洗冨士夫会長は「公平で実効性ある国際枠組みの実現に向け、日本政府がリーダーシップを発揮することを期待する」と注文した。【三沢耕平】
話がまとまらなくて良かった。
そもそも25%削減なんて勝手に公約されちゃ迷惑なんだよ。
日本の熱効率の良さは世界トップレベルであり、これ以上効率を上げるのは不可能。
これ以上無理すると経済的足かせになる。
BRICsと欧米だけやれば十分な効果は得られる。
こんな公約はとっとと放棄するか、他国との連動条件をつけて骨抜きにしろ。
そもそも、IPCC第4次評価報告書ってそこまで信用して良いものかね。
ものすごく政治的なにおいがするんだが。
特に、温暖化ビジネス推進の欧米の。
排出権取引なんて、何も存在しないところからいきなり大金が生み出されるという、おかしなマジックにしか見えない。
排出権取引推進で日本がウハウハと儲かるなら反対はしないけど、25%削減なんて掲げたら、確実に排出権を買わないといけないでしょ。
CO2が主犯だと言うけれど、その分析は正しいのか?
仮に正しいとしても、その主因たる化石燃料、特に石油は枯渇に向かっているのでは?
燃えるものがなくなったらもう温度は上がらん。
地球は寒冷化に向かっているという説もある。
それに、暖かくなることのデメリットばかり強調されているけれど、メリットもあるはず。
そういったことも考えずに、盲目的に「エコ」ってのはどうも気に入らないな。