アリス・イン・ワンダーランド

土曜日に「アリス・イン・ワンダーランド」を見てきた。
ティム・バートンもジョニー・デップも、僕は初体験である。

ホームズと違ってディズニーのパワーはすさまじく、本やらグッズやらたくさんでまくりである。
財布が痛い。

それだけに事前情報もたくさんあり、期待していたところ。

もちろん見たのは3D。
アバターを見たときと同じXpanD方式。
やっぱりめがねが重いや。

作品ではなく3Dの感想を先に。
アバター冒頭で最初に見たとき衝撃だったのは、飛び出すことよりも奥行きを感じたこと。
これも同じ。
でも大きな衝撃は感じなかった。
アバターを見てなれてしまったのかな?
前編で感じたのは微妙な不自然さ。

実は、理由は明白。
撮影が3Dではないのだ。

2D撮影したものを、コンピュータで擬似的に視差を作り出して3D映像化しているのだ。
だから、感覚としては2.8Dぐらいに感じられた。

3Dを体験しようと思うのなら、きちんと3D撮影された映画を見た方がよいだろう。

さて、本編ついて。

これはルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』の続編ということになるが、厳密にはそうではない。

原作には女王が4人出てくる。
不思議の国に出てくるハートの女王、鏡の国に出てくるのは赤の女王と白の女王。
ハートの女王はもちろんトランプのハートのクイーン、赤の女王と白の女王はチェスのクイーンである。
さてもう一人の女王は?
『鏡の国のアリス』の核心部分なので、触れるのはやめておこう。

映画中の赤の女王はハートのクイーンと赤のクイーンをベースにしたオリジナル、白の女王は白のクイーンをベースにはしていると思われるが、キャラクターが違いすぎる。

ストーリーのメインは、やたらと「首をはねよ!」などという、頭が大きくて醜い暴君の赤い女王から、善の象徴であり美人の白い女王が王権を奪還できるように、皆が働きかける話。

でもね、白い女王が善に見えないのだよ。
なんと言おうか。
偽善?

この映画も原作と同じくとんでもない世界が繰り広げられている。
CGはすばらしく、特にトゥィードルダムとトゥィードルディーの造形はすばらしい。
これほどまでにアリスの世界を忠実に再現した映画はなかったと思う。
ビジュアル面はこれ以上望めないだろう。

ただ、残念なのが物語の解釈だ。
原作の本質は言葉遊びにあるのだが、残念ながら映画ではほとんど再現されていない。

本作はキャロルの原作の世界をベースにして、ティム・バートン監督独自の解釈によって現実的に味付けをし直されたものと思う。
ストーリーらしいストーリーのないところからストーリーをひねり出し、何とか新味のあるアリスを描いている。
そういった改編部分には賛否両論あるかと思うが、僕は素直に面白いと思う。
少なくとも原作にはルイス・キャロルの毒があり、ディズニーアニメのアリスは中途半端に毒抜きされたものであったのに対し、僕はこの映画にきちんと毒を感じるのだ。
それがルイス・キャロルのものかティム・バートンのものかは考える余地があるけれども。

ちょっとおまけで☆☆☆☆★。
DVDが出たら、台詞をきちんと聞き直そうと思う。


無學童子
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