蕨宿
ウナギは大して好きでもないが、家の近所に名店があるのに一度も行かないというのはどうかと思い、昨日昼に妻と出かけてみた。
蕨宿の名店「うなぎ今井」に20分ばかり歩いて着いたのだが、店の前に「12日・13日は都合により休業します」という無情なお知らせが。
仕方ないので予定を変更・歩き回って美味しそうな店を探そう。
日本橋方面に数百メートル歩くと古い建物に「手打ちうどん 四国屋」という看板が掛かっている。ウナギから讃岐うどんというのもなんだか変だが、このあたりは土日に開いている店が少なく、これ以上歩いてもまともな食事処はないだろうと思い入ってみた。
写真に撮らなかったのが残念だが、なかなか立派な建物。
どうやら江戸時代の米倉を改装したものらしい。
ランチメニューも美味しそうだったのだが、頼んだのは「釜揚うどん天ぷらつき」で950円。
うまい。
こしはあるけどやや弱め。
でもこしのない関東風でもない。
だしはちょっと甘めで醤油系。そして塩分ひかえめ。
つまり讃岐「風」関東うどんと言ったところ。
いや、あえて蕨うどんと命名しよう。
美味しいけれど、讃岐うどんを期待して入ると肩すかし。
さて、店を出た後は腹ごなしに宿場散歩。
本陣跡にある蕨市立歴史民俗資料館に入る。
蕨市の歴史展示とのことだが、やや掘り下げが足りない感は否めず。
本陣や旅籠の復元があるし、現物資料もたくさんあるのに、テーマがぼやけているのが惜しい。
蕨市の歴史を展示するのであれば考古遺物から展示を行うべきだし、それができないなら蕨宿の歴史に絞った方が、展示スペースの狭さからも妥当だと思う。
僕が博物館学芸員の実習でお世話になった品川区立品川歴史館は、展示スペースがもう少し広かったため、品川の通史を展示した上、品川宿を大きくクローズアップするという二面的な展示ができていた。
実習当時、小さいながらもよく考えられた館だなと思っていたが、改めてその思いを深くした。
どちらも宿場町の自治体博物館なのに、これだけ違うとは。
展示資料の保存状態も良くない。
定書きの高札は字が薄くなりきちんと読み取れる状態ではなくなっていた。
キャプションがついていたことから、書き下したときにはきちんと判読できる状態だったと思われる。
それともこちらは別の文献から起こしたのだろうか。
資料館を出て京都方面に歩いて行くと、織物の買継商をしていた商家を保存した分館がある。
こちらは建物そのものが現物資料だけに面白い。
お店に公衆電話があったり、倉の中に入れたり。
奥の和室には澁澤榮一の書があり、やはり埼玉の商家なんだなぁと思った。
このほか、何軒かのお店に入ったり、城址公園や和楽備神社に寄ったりして帰る。
写真は和楽備神社の池。
カモが子育て中とのことだったが、残念ながら雛or子ガモは見当たらず。
短い時間ながら久々に充実したひとときだった。
それにしても、蕨宿近辺には呉服屋とお茶屋が何件あるのだろう?
ものすごくたくさん目についた。