死刑執行
超党派の「死刑廃止を推進する議員連盟」会長を務める亀井静香国民新党代表は28日午後、記者会見し、民主党政権下で初の死刑が執行されたことについて「死刑をすべきではないという信念を持っていた(千葉景子)法相なので、考え方を変えるのなら、国民に説明しないと(いけない)」と厳しく批判した。
法相は閣僚就任前は同議連の中心メンバー。亀井氏は「今は政治家が日ごろの言動、信念と関係ないことを簡単にやる。千葉法相までもかと(思う)。政治家の信念や公約を国民が信じられなくなっている」と指摘した。
この後、同議連は「死刑は国家による殺人行為であり、いかなる場合も認められるべきではない。これ以上の死刑執行の停止を強く求める」との抗議声明を発表。同議連は法相に面会を求めたが、法相は「日程の都合」を理由に応じなかった。このため、同議連事務局長で民主党の村越祐民衆院議員が西川克行刑事局長に抗議文を提出した。
また、社民党の福島瑞穂党首も28日の記者会見で「政府内で大きな議論もなく、死刑が執行されたことは本当に残念だ。結局、自民党時代の政治と何も変わっていない」と述べた。(2010/07/28-20:19)
国務大臣の個人的考えや政治家としての信念がいかなるものであれ、国務大臣は法に定められた職務を遂行しなければならない。
従って、法務大臣には死刑執行を命令する義務があり、死刑廃止論者が法務大臣であっとしても、その義務を免れることは出来ない。
しかしながら政治家である以上、法務大臣という立場にあっても死刑執行の是非について発言し行動するのは自由である。
千葉法務大臣が公の場で「私は死刑執行に反対である」と発言するのは自由だし、政治家として死刑廃止のために法律を整えようとするのも妨げられるものではない。
また法務大臣の職務として、死刑廃止のための有識者会議のようなものを設置するのも構わないし、法務官僚に研究させることも問題ない。
しかしながら、目の前にある命令書にサインをしないということは職務怠慢ということになる。
つまり、千葉景子氏が死刑廃止論者であったとしても、法務大臣として法に基づいて職務を遂行することは何ら矛盾がないのである。
従って、今回の死刑執行については、法務大臣としては何ら説明する必要がない。
ただし、千葉景子という政治家個人として有権者に説明することは、何ら矛盾はない。
僕の考えは以前書いたので詳細はそちらを見ていただきたいが、今回の件で千葉氏が非難されることには納得がいかない。
もっとも、執行が少なすぎると非難されることには同意だが。
千葉氏は嫌いな政治家の一人だが、今回の執行に立ち会ったという点には感心した。
死刑制度の賛否はどうであれ、人間の命は重い。
自分が命令書に署名した結果を見届けるということは、相当に勇気がいることだ。
人間の命を奪うということはやはり責任重大なことであって、それに正面から向き合ったことは素直に評価したい。
次の法務大臣が命令書にサインするハードルをあげてしまうことになりかねないことではある。
今回の執行と立ち会いが死刑制度というものに対して一石を投じることになれば、法務大臣としての職務を遂行しつつ、死刑廃止に動く政治家としての行動として、両立したということになるのだろう。