五百羅漢展
BS日テレで毎週火曜日にやっている「ぶらぶら美術・博物館」という番組が最近のお気に入り。
5月31日放送分が江戸東京博物館でやっている特別展「五百羅漢」だったのだ。
この展示会の監修をやっている明治大学の山下先生の解説が面白くて、腰の重いインドア派の僕が珍しく見に行った。
結論から言うと、これは無茶苦茶面白い。
狩野一信という人については恥ずかしながらこれまで知らなかった。
仏画で有名だそうだが、その人が10年かけて書いた100幅の五百羅漢図が初めて一気に公開されたのである。
まず、どの絵を見ても名画とは思えない。
しかしながら、微細な表現と大胆な構図で見るものを圧倒する。
宗教画の傑作だ。
ただ、この展示会では一枚一枚の絵よりも、その流れを見るべきだ。
最初の方は気合いが入りつつも丁寧に描いていることがわかる。
それがだんだん興に乗り、20幅や30幅あたりで勢いが増してくる。
50幅あたりは脂がのりきっていて、もうやりたい放題。
60-70あたりは円熟さを増すが、80台で急激にパワーダウンし、90台では見る影もない。
本来だったら最も力の入るはずの100幅目は見るも無惨。
これはまさしく画家の一生であり、その精根が尽き果てていく様まで含めて作品なのだ。
こんなに面白い仏画の展示は見たことがなかった。