007 サンダーボール作戦
少し前に「ネバーセイ・ネバーアゲイン」を見たが、こちらが元の作品だ。
監督は「ドクター・ノオ」「ロシアより愛をこめて」のテレンス・ヤング。
主演はもちろんショーン・コネリーで、悪役エミリオ・ラルゴはアドルフォ・チェリ、ボンド・ガールのドミノはクローディーヌ・オージェ。
何度も書くが、007シリーズのおもしろさは悪役にかかっている。
本作のエミリオ・ラルゴはどっしりと構えていて迫力があるが、「ネバーセイ・ネバーアゲイン」のラルゴに比べとち狂った感じはしない。
むしろ、まじめな悪という感じだ。
パロディ映画の「オースティン・パワーズ」に出てくるナンバー・ツーの元になったぐらいだ。
この手の悪役は、悪の権化の首領の率いる悪の組織がきちんと存在することによって引き立つ。
この作品は、エルンスト・スタヴロ・ブロフェルド率いる「スペクター」(SPECTRE, SPecial Executive for Counter-intelligence, Terrorism, Revenge and Extortion、「対敵情報、テロ、復讐、強要のための特別機関」)が初めてきちんとした形で出てくる。
ちなみに初登場は「ロシアより愛をこめて」。
映画シリーズでは全く触れられていないけど、ブロフェルドもスペクターもきちんとした設定がある。
特にブロフェルドについては原作の方の『サンダーボール作戦』で明らかになっている。
スペクター内でのブロフェルドの呼称は映画版では統一して「No.1」となっているが、小説版における設定は機密保持のため定期的に番号をずらすことになっており、『サンダーボール作戦』でブロフェルドは「No.2」、ラルゴが「No1」となっている。
「ネバーセイ・ネバーアゲイン」ではブロフェルドは原作通り「No.2」となっているところは興味深い。
「ネバーセイ・ネバーアゲイン」もそれなりに面白いが、こちらの作品の肝は最後の水中戦だろう。
水中というのはどうしても動きが緩慢になるので迫力が欠けがちだが、様々な演出によりそれを見事に克服している。
リメイク版はクライマックス部分がパッとしなかったから、僕の中での評価はどうしてもこちらが上になってしまう。
やはりメジャーとインディペンデントの予算の違いか。
いや、予算よりもやはりセンスなんだろうな。「ドクター・ノオ」は低予算だったのだから。
☆☆☆☆★
2019/05/01追記
1965年公開の007シリーズ第4作。
この、映画でどうしてもふれておかなければならないのが権利の問題。
原作者イアン・フレミングの軽率な行動で、半世紀近く揉める事になる。
詳細は「007の権利の話」にて。
画像引用元 映画.com