ディズニー映画の名曲を作った兄弟:シャーマン・ブラザーズ
2009年のアメリカ映画。
ミュージカル映画やディズニーの映画を観ている人には、知る人ぞ知るシャーマン兄弟。
これはそのシャーマン兄弟に迫ったドキュメンタリー映画である。
兄の名前はロバート(ボブ)、弟はリチャード(ディック)。
彼らの音楽の代表作は、「メリー・ポピンズ」「くまのプーさん」「チキ・チキ・バン・バン」。
彼らの名前を知らなくとも、作品は多くの人が聴いたことがあるだろう。
映画を飛び越えて、音楽の授業で取り上げられたり、CM等に使われてもいるからね。
僕はディズニー映画ファンではないが、
007好き→原作イアン・フレミングと制作者アルバート・ブロッコリ→「チキ・チキ・バン・バン」→ディック・ヴァン・ダイクが出演→「メリー・ポピンズ」、あるいは「サウンド・オブ・ミュージック」が好き→主演ジュリー・アンドリュース→「メリー・ポピンズ」と辿ってきたので、シャーマン兄弟とは必然的に何度も出会ったのだ。
この兄弟の曲はとても軽快だ。そして、深い。
ディズニーランドのアトラクションのテーマソングである「小さな世界」を聴いてみれば良い。
彼らは確かに職業作曲家であり作詞家であったが、この曲を聴いたウォルト・ディズニーは感激し「Children of the World」と言う名前のアトラクションを、「It’s a small world」に変えたのだ。
このアトラクションは、正にディズニーのテーマパークのアトラクションを代表する物であり、ウォルトの理念・理想をあらわしたものである。
そこに、この曲が不可分・不可欠な物であるということは、恐らくほとんど異論は出ないのではないだろうか。
ところで、シャーマン兄弟の音楽に親しんだ僕にとって、この映画は衝撃であった。
なぜなら、彼らはとてつもなく不仲であったというのだ。
既にボブは他界しているが、ディックは彼らが関わった映画の特典映像などで見かけていた。
ディックがピアノで軽快に自分達の曲を弾く姿からは、兄に対する畏敬の念する感じられ、仲の良い兄弟なのだと勝手に思い込んでいた。
この映画でも語られているが、兄の生前も仲の良い兄弟を演じていたという側面もあったようだ。
この映画は生前のボブと、健在のディックのインタビューが収録されているが、陽気なディックに対して、ひたすら陰鬱で神経質な雰囲気の漂うボブがとても印象的だ。
この兄と弟の一番大きな違いは、戦争経験の有無だ。
第二次世界大戦に従軍し、足を負傷、その後義足での生活となっている。
この対象的な兄弟が偉大な仕事を成し得たのは、間をつなぐ人物に恵まれたこと、そしてその対象故だろうと私は思った。
少なくとも、この映画の制作者達はそう印象づけようとしている。
最後に、メリー・ポピンズの原作者であるトラヴァース夫人は、やはりかなり厄介だったようだ。
「ウォルト・ディズニーの約束」で描かれているが。それでもこの映画が原作とはまた違った意味で、不朽の傑作として名を残したのは、この兄弟の功績だろう。
画像引用元 Filmarks