家電製品の選び方 6 事業所で家庭用の電化製品を使う場合の選び方
従前のこのシリーズで紹介してきたのは、家庭における家電製品の選び方と言えるものだった。しかし家電製品の活躍場所は家庭とは限らず、会社や学校あるいは病院など、つまり事業所でも活躍する。
もちろん、プロフェッショナルにはそれぞれの分野のプロフェッショナル用の業務用品がある。しかし例えば工場で社員の休憩スペースに置くような電子レンジとか、狭い事務所の掃除機とか、家庭用の電気製品を使う機会はある。
ここでは、敢えてそういった点に絞って、購入の際の考え方について示してみよう。
事業所で家電製品を購入する場合、それは大きく分けて「事業に使用するもの」「福利厚生に使用するもの」の二つがあるだろう。
事業で使用する物の場合、例えば掃除屋さんが掃除用の家電を買うというシチュエーションでは、アドバイスすることは何もない。しかし、一般の会社がオフィスの掃除のために買う掃除用の家電と言うことであれば、話は別だ。
事業所で使う物の場合、買う人は誰なのか、使う人は誰なのかが重要だ。
買う人=使う人であれば問題ない。しかしこれが違う場合、買う人は使う人の意見を聞くべきだ。
例えば社長が使う人の意見も聞かずに「ダイソンのコードレススティック掃除機は高級だから良いだろう」といって買ってきてしまった場合、大きな顰蹙を買うかも知れない。なぜなら、サイクロン掃除機はフィルター掃除が面倒だし、コードレス(つまり充電式)でバッテリー交換が出来ない場合、一度の充電で事業所全体を掃除できないかも知れないからだ。
では使う人は何を選べば良いか、それは千差万別だろうが、ひとつの考え方を示すならば、「面倒くさくない」と言うところか。
上記の掃除機の場合、例えばマキタのコードレス掃除機はどうだろう?
バッテリーは予備をいくつか買っておけば、使用時間の短さはカバーできる。紙パック式にすれば、フィルターの掃除は必要ない。紙パックを買い続けるというデメリットはあるが。
シュレッダーなら容量が大きい方がゴミ捨ての頻度が減る。
メンテナンスはフリーなほうが喜ばれるだろう。加湿器などに多いが、「タンクの清掃は毎日」「フィルターは二ヶ月に一度交換」とか。そんな面倒なことは、社員は誰もやりたくないのだ。
また、説明書がなければ分からないようなものは避けるべきだ。わかりやすさが重要だ。
使う人の立場になって、面倒くさくない物を選ぶというのが、基本的には正しいだろう。
もう一つ、福利厚生に使用する物についても考えてみよう。
この場合、前述の「面倒くさくない」に加えて、従業員にとって得になる、という点が大事になる。
福利厚生での家電購入で良くあるのが、社員の休憩スペースに置く電子レンジだ。
最安値の物を買うという人が多かったが、僕はこれは間違っていると思っていた。
こういった電子レンジの使用目的は、主に昼休憩時の弁当の温めだろう。
さて、ここで注目して欲しいのが電子レンジのワット数だ。
安価な電子レンジは500Wあるいは600Wと言うところだろう。
ハンバーグ弁当の温め時間が500Wで5分かかるとすれば、業務用1500Wの電子レンジでは1分40秒で済む。
昼休の限られた時間を有効活用できるという意味では、お金はかかっても出力の高い電子レンジを購入する方が、社員の満足度は高いのではないだろうか。
業務用であれば200Vの電源が必要であるが、家庭用でも短い時間であれば1000Wのものもある(ただし数分程度しか使えない)。多少長めに高出力と言うことであれば、800Wで6分使用可能なものもある。
例示は少ないが、家庭用電化製品を家庭で使うために買うのと、事業所で使うために買うのでは、少しだけ考え方を変えなければならないのはご理解頂けただろうか。
最後に、メーカー保証は家庭で使用することが前提なので、事業所で使用している場合、無償修理などが受けられない場合があることは留意しておこう。