無料
『フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略』
☆☆☆☆★
やや胸のつかえが取れたかな?
実は、結構疑問に感じていたんだよね、なぜ「無料」で成り立つのかが。
ジレットの替え刃商法(*1)と同じで、無料の原資は必ず誰かが払っている(*2)ことには、今も昔も違いはない。
競争市場においては価格は限界費用まで落ちていく。
ただ、ビット(ネットに乗る情報)とアトム(ジレットの替え刃)では、限界費用が圧倒的に違うと言うこと。
つまり、費用が無視できるほど潤沢と言うこと。
ビットは無料に近づいていく。
でも、クリスアンダーソンはそれを否定も肯定もしていない。
「うまく使いこなせ」と書いている。
フリー経済の周辺に儲かる秘密があるというわけだ。
僕がこのブログを更新しても、直接的にお金を得ることはほとんどない。
Diogenes Clubuもまた同じ。
こういった行為は経済学では無視されるが、本書では無視されない。
「非貨幣市場」というものも視野に入れないと、無料というのは正確な姿をとらえることができないからだ。
世界のビジネスがアトム経済からビット経済へと大きく潮流が変わっている中、「無料」の本質を知らないままでいると、確実に取り残される。
今自分の会社が売っているものが、明日は別の会社がただで配るようになるかもしれないのだ。
今大きく起こっているパラダイムシフトを理解する上で、本書は必読といえるだろう。
*1 ジレットの替え刃商法
本体を無料または低価格で販売し、利益率の高い替え刃で回収するビジネスモデル。
携帯電話の販売でも同じようなことが起こっている。
*2 無料の原資は必ず誰かが払っている
ジレットの替え刃の場合は消費者自身が払っているが、民間のテレビ局の場合はスポンサーが払っている。Googleの場合も、広告出稿者が払っている。
mixiの場合は広告出稿者と有料会員が負担している。
このブログは僕が負担しているが、アフィリエイトで一部ユーザから返ってくる分もある。