007 ゴールドフィンガー
1964年(日本は1965年)公開の007シリーズ第3作。
前作の人気で軌道に乗った007シリーズだが、本作でその地位を確実にした。
僕にしてみれば、この作品が「これぞ007シリーズ」というもののはじめ。
007シリーズのいかにもなお決まりがこの作品で定まったといえる。
まず、オープニングシーケンスで本編とは全く無関係のアクションが展開される。
この時、ホテルで襲ってきた敵を倒す方法に注目。バスタブに入れられた敵に対して、ランプを投げ込んで感電死させている。
メインタイトルは恐らく007シリーズの最高傑作なのではないだろうか。
シャーリー・バッシーの迫力ある歌声、映像では金粉を塗られた美女に映画の名シーンが投影されているのだ。
ボンドガールと言えば、印象深いのがシャーリー・イートン演じるジル・マスターソン。冒頭、マイアミのホテルでカードゲームでイカサマをやっていたゴールドフィンガーの片棒を担いでいるが、それを突き止めたボンドと懇ろになる。彼女を一躍有名にしたのはその殺され方。裏切りを怒ったゴールドフィンガーが、彼女の裸体に金粉を塗り皮膚呼吸が出来なくなって死んでしまうのだ。残酷だがその美しい描写に息を飲む。
登場時間はわずかだが、全シリーズの中でも印象深いボンドガールの一人。
もう一人は、オナー・ブラックマン演じるプッシー・ガロア。プッシーはまんこの意味。原作によればレズビアンとの事だが、ボンドの魅力でゴールドフィンガーを裏切る事になる。
秘密兵器はなんと言ってもボンドカー。伝説のアストンマーティンDB5。
防弾ガラスはもちろん、各国対応の回転式ナンバープレート、レーダー、隣の車をパンクさせるタイヤのホイールに仕込まれた刃、煙幕、油、まきびし、そして極めつけが助手席を丸ごと射出する装置。
この後のシリーズでいくつものボンドカーが出てくるが、これに匹敵する印象を残したのは「007 私を愛したスパイ」に出てくるロータス・エスプリくらいであろうか。
敵のボス、ゴールドフィンガーは金に異常なまでに執着した男。
ボンドをレーザーで焼き殺そうとした時に「いや、ボンド君、死んでもらうだけだ。(No, Mr.Bond, I expect you to die.)」というセリフが有名。
演じるゲルト・フレーベは英語がほとんど出来ず、制作者の怒りを買ったが、同じ制作者の「チキ・チキ・バン・バン」でも悪役を演じているから気に入られたのだろう。
ゴールドフィンガーの手下、オッドジョブもまた印象的な悪役。どうやら彼は韓国人であるらしい。被る帽子に刃が仕込まれている。怪力かつほぼ無敵で、ボンドがいかなる攻撃を仕掛けてもびくともしない。
オースティン・パワーズに出てくるランダム・タスクのモデル。
無敵の彼がどのように倒されるのかが見どころ。
大ボスの強力な手下という像を確立。
ゴールドフィンガーは米国フォート・ノックスを放射能で汚染し、自身の持つ金塊の価値を上げようと企む。核爆弾の時限装置をボンドが止めるわけだが、元のシナリオでは3秒前になっていた物を、制作者の一人はリー・サルツマンが7秒前にしようと提案し、「007」と言う表示になった。
ボンド映画を確立したという意味で。
☆☆☆☆☆
画像引用元 映画.com