さらば、ベッキー
どんな世界のも、出会いがあれば別れもある。
長年愛用したBecky! Internet Mailと別れることにしたのだ。
今までも携帯など複数の方法でメールチェックをしていたが、その際に困るのがメールの管理だ。
たくさんくるメールの中には、重要だったり返信が必要だったりするものがあるわけだが、緊急のもの以外は帰宅してからPCで作業することになる。
問題なのは、一度携帯やその他の方法でメールチェックしているにも関わらず、結局PCでもチェックしているという時間のロスだ。
複数あるアドレスをBeckyで管理しているが、それと併せてすべてのメールをGmailに転送して外部でも確認できるようにしている。
その状況でしばらく運用を続けていたが、先月NetWalkerを導入したことでやや状況が変わってしまった。
今までは携帯で重要そうなメールだけチェックしていたが、帰宅するまでの間にNetWalkerで本格的に確認できるようになったのだ。
それなのに、帰宅してからPCで、一度確認したはずのメールをまた見ることになるのだ。
モバイル環境の充実で問題になるのは、一にも二にも「同期」なのである。
これを解決する手段はただ一つ、メールチェックの手段を一元化すればよい。たとえば全面的にGmailに移行してしまえば、既読のメールを2度も見ることはなくなる。
しかし、残念ながらWebメールは普通のメーラーほど細かく動作設定できないため、不便に感じる部分も多い。
だからこそ今まで両刀遣いだったわけだ。
そこで思い出したのがIMAP4だ。
これは既存のPOP3と違い、メッセージストアをサーバに持つ規格なのだ。
つまり、同じサーバに接続できる環境さえ持てば、どこからでもメールが同じように参照できると言うこと。
既読・未読のマークやフォルダ振分はサーバ側にデータを持つので、たとえばモバイル環境で既読にしてフォルダに移した場合、自宅のPCでチェックしてもそれが反映されていると言うことになる。
もう十五年以上前の規格なので、いまさら解説するまでもないだろう。詳細はこちらで。
簡単に言えば、メールに関してモバイルと固定の同期がとりやすいと言うことだ。
以前切り替えを検討したこともあったが、当時使っていたサーバは未対応だった。
今はGmailにすべてのメールを転送しているが、そのGmailが幸いなことにIMAP4対応なのである。
BeckyはIMAP4にも対応しているが、残念ながらLinux版はない。
Linux上で力業でWindows環境を構築することはできるけれども、非力なNetWalkerには荷が重い。
NetWalkerではWebメールで我慢という選択もあるが、なるべくなら同じメーラーを使いたい。
NetWalkerに最初から載っているのはThunderbird2なので、とりあえずメインPCでもThunderbirdを導入することにしよう。
現行最新が3だが、NetWalkerの方のバージョンアップは後で考えることにする。
Beckyは大変良いソフトだ。
別れるのは惜しいけれど、Version2リリースから10年。
今まで度重なるアップデートはしてきたが、残念ながらメジャーバージョンアップはないのである。
インターネットを取り巻く環境は10年前とは様変わりしたが、このソフトはあまり変わっていないのだ。
10年前に設計されたメールソフトだから、アップデートされているとはいえ今後も革新的な機能追加は望めない。
V3に期待したいところだが、現状ではメジャーバージョンアップが頻繁に繰り返されているThunderbirdに乗り換えるのが僕にとっては面白そう。
だから、あえてBeckyからThunderbirdに乗り換えることにしたのだ。
さて、データの移行方法については検索すれば山ほど出てくるから省くことにする。
この移行で一番面倒なのが、Beckyで構築したフォルダ構造をそのままThunderbirdに持ってくる方法である。
特に僕の場合、送信者ごとにフォルダ分けしていたのでフォルダが数百ある。
移行方法はいろいろとあるのだが、面倒なのでこれを機会に詳細なフォルダ分けを廃止することにした。
そもそも僕が詳細なフォルダ分けをしていたのは検索の都合だ。
昔に比べて検索システムがずっと進化しているから、今は探しているメールをすぐに見つけることができる。
だからもう細かなフォルダ分けはいらないだろうと判断した。
ただし、複数アドレスのメールを一つのGmailアドレスで管理する都合上、最低限メールアドレスごとのフォルダ分けはしないといけない。
計算上、移行対象となるメールは10万通以上。
検索で出てきたどの方法でもローカルフォルダへの移行は簡単に終了する。
さて問題は、せっかくIMAP4に移行しても既存のメールがローカルにある場合はその恩恵にあずかれないことである。
Thunderbird上でローカルフォルダから該当するGmailアカウントのフォルダへ移動すればよいのだが、1,000通移動するだけでもかなり長い時間かかることがわかった。
十数万通は気の遠くなる量である。
そこで一計を案じ、ファイルメニューから「オフライン作業」を選択しThunderbirdをネットから切り離した上で、改めて同じ作業を行った。
およそ10万通のメールが数分でコピー終了。
ただし、オフラインなのでもちろんGmailにはアップされていない。
この状態でオンラインに切り替えると、バックグラウンドで地味に同期作業が行われるのだ。
寝るときにThunderbirdをオンラインに切り替えてそのまま放置。
翌日会社から帰宅後に確認すると、ほぼ移行が終わっていた。
同時に、重複していたメールもすべて解消しメールの量も減っていた。
送信アカウントもきちんと設定、これでほぼ万全に移行した。
後は若干モバイル側での設定は残るが、仮に設定していなくともGmailのWebの方で同様の設定をきちんとしているため、問題があればWebメールを使えばよい。
尚、Thunderbirdの使い勝手は現時点では良いと思う。
やや重くなっているのはIMAP4の同期のためとわかっているので仕方ない。
スマートフォルダという構造にはやや戸惑いを覚えるが、慣れれば便利だろう。
Gmail以外にau-one.netで携帯メールの転送をしているのでそちらも併せて受信設定したところ、一つの受信フォルダですべてのアドレスのメールが一覧表示できるようになった。
もちろん受信アドレスを区別してみたいときはきちんとできるので、これはなかなか便利かも。
Lightingというadd-onでスケジューラ機能を追加し、Provider for Google Calendarというadd-onでGoogleCalendarと同期。
これによりGoogleCalendarを中心に、僕のスケジュール管理も一元化できることになった(会社の紙ベース以外だが)。
あとはNetWalk
erのThunderbirdのバージョンアップをすれば完璧なのだが、まだUbuntuを使いこなせていない私にはやや高いハードルなのであった。