電子書籍

アップルのiPad発表以降、電子書籍サービスが急に注目されだした気がする。


僕は、紙の書籍は近い将来電子的なコンテンツに完全に置き換えられると思っている。
検索性能や収納スペースなどの観点から見れば、コンテンツがデジタルで提供される意義は大きい。
過去に発売された電子ブックビューワはことごとく失敗してきたが、紙とインク以上の手軽さを実現できなかったために過ぎない。

ハードウェアの欠陥が改善されるか、ハードウェアの欠陥以上に電子書籍ならではの魅力が見いだされれば、大きく普及することは間違いないと思われる。

最近はたまたまiPadで注目を集めているが、普及に向けた布石はすでにある。

たとえば電子辞書。
これは近年バカ売れしている分野で、学生は必携である。
僕の本棚には色々な事典・辞書があるが、コンパクトな端末にそれが入ってしまうのは確かに魅力的である。
デジタルであるが故に複数の辞書の串刺し簡単に検索もできるし、英単語の発音の確認もできる。
辞書は特に長時間読み続けることはないから、多少読みにくくても電子辞書には紙の本の欠点を補ってあまりあるほどの魅力があり、「読む本」の前に普及した。

ただし、このような遊びはできない

Dictionary

イギリスのテレビ番組の辞書ゲーム。日本でも「たほいや」などとして改良されたものが紹介されている。

遊び方

進行者は辞書の中から、出来るだけあいまいでわかりにくい単語を抜き出し、その単語と定義をメモする。そして、回答者たちに、定義を説明せず、単語だけ発表する。
各回答者は、その単語に対して、もっともらしい定義を考え、メモする。
進行者はそのメモを集め、正しい定義のメモと混ぜていっしょにし、そのメモに一枚づつ番号を振る。
進行者は回答者たちにそのメモを番号順に発表する。
回答者は、そのメモの中で、どの定義が正しいのかを推理し、投票する。
正解者に2点、全員の票を集めた定義に対して1点与えられる。

単語当て遊び

私が高校時代に、図書館で友人と暇つぶしにやっていたゲームです。

遊び方

出題者は、辞書の中から回答者が知っていそうな単語を選び、定義(あるいは定義の一部)のみ読み上げます。
回答者はその定義から、その単語を当てます。

このゲームのポイントは、出題者が辞書のどのあたりを見ているかを見るところにあります。国語辞典で真ん中あたりを開いているようでしたら「た行」でしょうし、最後のほうなら「ら行」でしょう。もちろん、出題者は意図的に隠すことも出来ますし、違うページを開いておくことも出来るわけですが。
それでは私のお気に入りの問題を出題しましょう。
「この女、その女、あの女」
答えが知りたい方は、がんばって調べるか、私宛にメールをください。

初出 2000/08/17 無學童子管理の旧サイト 「辞典は楽しい。」

メールされても面倒なので、答えを知りたい人はコメント欄へ。

僕は子供の頃辞書を読んでいたこともあるわけで、電子辞書ではそれがやりにくいのは微妙だが、PC上でWikipediaの項目を読みながらリンクを芋ずる式に辿っていくような人も多いだろうから、そのあたりは五分五分といったところか。

携帯電話の普及も大きい。

革新的なツールができたとしても、そのときの生活習慣と大きく異なるものの場合、普及は難しい。
70年代や80年代にいきなり今の最新のデジタルデバイスが登場したとしても、使いこなすための「お約束」が形成されていないから、普及するのに時間がかかるだろう。

これは携帯電話の変遷を見ればわかると思う。
90年代後半のストレート型の端末から主流は二つ折りにかわり、最近ではスマートフォンがヒットしている。
ストレート型の端末の時代に比べると、その後のものは大きくなっているが、これはメールやWeb等の文字や画像のやりとりが多くなったため、画面の大きさを確保しなければならなかったからである。
もし二つ折りの端末を経ずにスマートフォンが現れても、「大きい」と一蹴されたことだろう。

あるツールが普及するためには、やはり段階を踏まなければならないのだ。

電子書籍の普及において携帯の果たす役割が大きいと考えるのにはいくつかの理由がある。
まず、「電子機器を常に持ち歩く」ということに何の違和感もなくしてしまったことだ。
電子手帳やポケベルを持ち歩いていた人は確かにいたけれど、携帯電話ほど普及した電子機器はない。

携帯電話は普及しながら短期間でかなり高機能となったが、もっともすごいのはメールとインターネットだ。
これによって、携帯電話の小さなキーで文字を打つことに対する抵抗をなくし、小さな液晶画面を長時間凝視することの違和感を無くしてしまった。

昔、電子書籍が普及しないことの理由として「画面が見にくい」というのがあった。
確かに僕もそう思うが、今は当時の画面より格段に見やすくなったし、それと同時に画面を長時間凝視し続けることへの抵抗が少なくなった。
ある意味で、技術面と習慣面が歩み寄っている状況だから、電子書籍を受け入れる素地は高まっていると思う。

電子書籍の普及に向けて、数々あったハードルは、一つ一つ着実にクリアされている。
このハードルがおおかた乗り越えた状況になれば、一気に普及が進むことになると思われる。

「無人島で読む本」という問いに対して、電子書籍がそれを全うできるだけの状況になった時、紙の本の時代は終わりを告げるだろう。

無學童子
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