本当の原因は?
家賃滞納を理由に部屋の鍵を勝手に交換するなどして追い出したのは生存権の侵害として、大阪市城東区の派遣社員の男性(37)が、同市内の不動産管理会社に140万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、大阪簡裁であった。
篠田隆夫裁判官は「平穏に生活する権利を侵害した」として、65万円の支払いを命じた。
家主側による強引な追い出し行為を巡っては、弁護士や司法書士らでつくる「賃貸住宅追い出し屋被害対策会議」などが支援し、昨年12月以降、全国で14件、提訴されている。同会議によると、鍵交換による追い出し行為について業者側に賠償を命じた判決は全国で初めてという。
判決によると、男性は昨年2月、同区内の賃貸マンションに入居。8月分の家賃など計4万3500円の支払いが遅れたところ、同月末に無断で鍵を交換され、翌9月末まで簡易宿泊所暮らしを余儀なくされるなど、2回にわたり、計34日間、自宅を追い出された。
訴訟では、男性側は「1か月分の滞納だけで生存権を侵害するのは許されない」などと主張。同社側は「家賃滞納という債務不履行を無視してまで居住権を認めることはできない」と反論していた。
篠田裁判官は、追い出し行為を「建物の不法侵奪」として同社側の主張を退け、「国民の居住権を侵害する違法行為として厳しく非難されなければならない」とした。
強引な追い出し行為を巡る訴訟では、福岡地裁が昨年12月、家賃保証会社が玄関ドアを固定して鍵を開けられないようにしたことについて、不法行為を認定している。
(2009年5月22日18時36分 読売新聞)
脱法的手段を使って追い出そうとしたんだから、妥当な判決と言える。
でもね、これは大家の側にも言い分がありそうだ。
だいたいにおいて物件を建てるのは借金によって賄われている。
賃料が支払われない状態は資金計画が狂うことになるから、それを避ける手段として家賃保証会社の保証を条件にしたりしているのだろう。
こんな記事について、「盗っ人猛々しい」「ごね得」と言ったコメントを寄せる人がいるが、それは問題の履き違えだ。
家賃を滞納する人には、やはり出ていってもらわないといけない。
今回問題になったのはその手段だし、一ヶ月の滞納が社会通念上大きな問題となるのかということを考えなければならない。
貸し手側が有利であるからこそ、借り手を保護する法律があるのだ。
大家も、法的手段で訴えれば問題はなかったのだ。
記事からは分からないが、おそらくこれは俗に言うゼロゼロ物件(敷金0、礼金0)だろう。
こういった事態を防ぐための大家側の自衛手段として、保証人や敷金必須の物件が増えてくるかも知れない。
そうなると、低所得者がさらに借りにくくなる。
大家にも店子にも優しいし制度って、出来ないものだろうか。