八ツ山橋
ネットサーフィンをしていて、たまたま目に入ったのが品川駅近くにある八ツ山橋の現在の写真。
そのページを見ていて不意に「八ツ山橋ってこんな橋だったっけ?」という疑問が頭に浮かぶ。
少し前の八ツ山橋(現在は付近に八ツ山アンダーパスが通っているが、八ツ山橋そのものはこの写真と変わらない)
調べ方が悪くてちょっと苦労したのだが、掛け替え前の先代の橋の写真を見つけた。
1985年に掛け替えたそうだから、僕の記憶にに残っているのは当然だ。
立派なアーチ橋だったのだ。
子供の頃、父が電車好きだった僕を連れてきてくれたのを思い出した。
東海道線・横須賀線・京浜東北線・山手線がみえるのだ。そしてすぐ目の前は京浜急行線。
電車好きにはたまらない場所なのだ。
僕が八ツ山橋を日常的に使うようになったのは、高校時代、通学にバスを使うようになってから。90年代はじめのことである。
それまでは時々しかこの橋を渡らなかったから、現在の橋の方が印象深いのもやむを得ない。
高校時代に使っていたバスは、八ツ山通りから京浜急行の八ツ山踏切を通り、八ツ山橋を抜けて品川駅へと至る。
この京急の八ツ山踏切がくせ者。
京急が品川駅に進出して省電に接続する際、省電と立体交差させたのだが、地形の都合で品川-北品川間がかなりくねくねと曲がっているのだ。
だから京急線は品川を出たあと少しの間かなりの鈍足なのだが、八ツ山踏切はそのまっただ中にあるのだ。
この道を路線バスが通るのだが、踏切のせいで時刻通り動かない。
だから朝のラッシュ時には京急の高架下をくぐって第一京浜から品川に行くという、超大回りルートで設定されたバスがあるくらいだ。
ラッシュ時ではなかったのだが、雪が降った折にこのバスに乗っていたら、踏切の手前で数十分足止めされたことがあった。
京急のダイヤの乱れが原因だが、痺れを切らしたバスの乗客が踏み切り待ちのバスからつぎつぎに降りていったのだ。
僕は面倒だったのであきらめてのんびり待っていたのだが。
山手通り方面や品川駅東口から高輪口方面に抜けるにはこの踏切を通るしかなかったのだが、2007年に八山アンダーパスが出来てすいすい抜けられるようになった。
よく使う人には便利だろう。
でもそのおかげで付近の景色がずいぶんと変わってしまった。
大学卒業後、父が単身赴任から帰ってくるまで品川に住んでいて、その後中野でひとり暮らし、結婚を機に今のところに移った。
品川を離れてそれほど時間はたっていないが、随分変わってしまった。
駅自体も10年ほど前に地下駅から橋上駅に変わった。
それまで東口は都心のターミナル駅とは信じられないほどのローカル線風駅だった。
屠殺場の臭いが嫌だったな。
今はビルが林立しており、子供のころの面影はあまりのこっていない。
西口の改札を入り、左側の階段を下りると地下通路だった。
大雨が降って冠水し、電車が止まったこともあった。
エキュートのある今のきれいな品川駅を見ても、地元に戻ってきた感じはしない。
実家の近所も再開発が進み、ゴルフの練習場は高層マンションに変わり、いつの間にかりんかい線の駅が開業していた。
都市の変貌って早いものだ。
馴染みの店も今はもうない。
数ヶ月おきに実家にいくけど、その度にちょっとした変化を発見する。
都市住民に、心のふるさとはないのだと思った。